焦点外X線について

画像機器/検査:X線

問題

今回は第74回診療放射線国家試験「画像機器学」より焦点外X線についての問題を解説していきます。

なお、問題文は厚生労働省HP\(^*\)より引用しております。(\(^*\)現在未更新のためリンクは繋げていません)

午前5

焦点外X線で正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 陽極の全体から発生する

2. 画像コントラストを低下させる

3. 線質は焦点近傍ほど光子のエネルギーが高い

4. 集束電極で収集されなかった電子のために生じる

5. 発生する量は回転陽極よりも固定陽極の方が多い

解説

焦点外X線の基本的知識

焦点外X線とは

焦点外X線とは『熱電子が焦点へ衝突後、反射等により発生した二次電子が焦点外から発生させるX線』です。

分かりやすいように図を使って説明します

<焦点外X線の発生機序>

(1)熱電子が電界加速され陽極側へ衝突する

(2)陽極との相互作用により陰極側へ跳ね返ってくる電子(以下、二次電子という)が発生する

(3)二次電子は電界により再度陽極へ衝突する

(4)二次電子の焦点外への衝突により発生したX線を「焦点外X線」という

焦点外X線での押さえておくべきPOINT

①焦点外X線の発生量は固定陽極よりも回転陽極の方が多い

➡︎ 焦点外X線は“焦点外”で発生するX線のため焦点外面積の大きい回転陽極の方が多いことになる

②焦点外X線は焦点近傍ほど低エネルギーになる

➡︎これは焦点外X線発生位置と加速距離の関係に起因するためである

加速距離が短いという事は加速されにくい、すなわち運動エネルギーが低いということになるので加速距離が短い二次電子の発生するX線は低エネルギーになるという事は理解できます。ここで、加速距離を短くするには上図のように焦点の近くで再度加速される必要があります。これをまとめると焦点近傍ほど低エネルギーの成分が多いということがわかります。

(※)焦点外X線の発生機序は二次電子の再度加速によって発生する【基本知識の画像(3)を参照】事から、前提として1次線よりも低エネルギーであります。

③焦点外X線は画像において画質を低下させる要因である

➡︎ これは単純にX線発生場所が焦点外からの発生のため、指向性が悪くなるためである

解法

以上の基本的知識を利用しながら問題に戻って解いていきましょう

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1. 陽極の全体から発生する

焦点外X線は焦点の外から全てから発生しうるため正解

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2. 画像コントラストを低下させる

焦点外X線が画質低下の要因である事から正解

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3. 線質は焦点近傍ほど光子のエネルギーが高い

「押さえておくべきPOINT②」より焦点近傍では低エネルギーであるため不正解

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4. 集束電極で収集されなかった電子のために生じる

これは副焦点の説明であるため不正解

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5. 発生する量は回転陽極よりも固定陽極の方が多い

「押さえておくべきPOINT①」より発生量は回転陽極の方が多いので不正解

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以上より正解は【1】と【2】になります。

お疲れさまでした。

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