問題
今回は第67回診療放射線国家試験「診療画像検査学」よりDIXON法における画像解剖についての問題を解説していきます。
なお、問題文は厚生労働省HPより引用しております。
午前22
腹部MRIのT1強調画像を示す。左副腎腫瘍について正しいのはどれか
1. 出血が認められる
2. 脂肪が認められる
3. 嚢胞が認められる
4. 繊維化が認められる
5. 石灰化が認められる
解説
DIXON法による画像の見方
水と脂肪に共鳴周波数の差が存在することで発生する位相差を利用して画像化する撮影法
DIXON法では、GRE法においてTEを変化させることで位相差をより強調した画像(in-phase画像、out-phase画像)が作れる
位相差・・・歳差運動に差があること。
GRE法・・・SE法と違って再収束パルスがないために位相分散の効果を得られやすい
in-phase画像
in-phase画像とは水と脂肪の位相が揃う状態にTEを設定した画像である
位相分散はRFパルスの停止から始まるとすればTE=0はin-phase(同位相)となる
画像信号としては「水信号 + 脂肪信号」となる
DXION法では基準画像になりうる
out-phase画像
out-phase画像とは水と脂肪の位相が逆位相(正反対)となった状態にTEを設定した画像である
画像信号としては「水信号 ー 脂肪信号」となる
DIXON法では比較画像となりうる
解法
では、まず始めに実際の画像を見て解剖的な位置関係を整理しましょう。
ここでは、in-phase画像を例にとります(out-phaseでは化学シフトによるアーチファクトの影響等も含む為)
題意の通り左の副腎腺腫がDIXON法におけるin-phase、out-phase画像ではどのように写っているのでしょうか。次にDIXON法の画像の見方について解説してきます
in-phase画像を基準とすると、out-phaseでは副腎腺腫では信号が落ちていることが分かる
- in-phase信号:水信号 + 脂肪信号
- out-phase信号:水信号 ー 脂肪信号
これは副腎腺腫に脂肪成分が含まれていることを意味する
それでは選択肢に戻って見ましょう
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1. 出血が認められる
不正解
出血だと磁化率の影響、また経過時間によっても信号値は変化する。今回のin-phase画像では腎臓の信号値と副腎腺腫の信号値が等信号程度であることから出血はないと言える
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2. 脂肪が認められる
正解
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3. 嚢胞が認められる
不正解
嚢胞とは分泌液(液体)が袋状に貯まる病態のことである。
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4. 繊維化が認められる
5. 石灰化が認められる
不正解
石灰化及び繊維化では水分量が減少するためin-phase及びout-phaseの両者共に信号低下をきたす
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以上より正解は【2】である
お疲れ様でした
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