各パルスシーケンスにおける頭部MRI画像の特徴

画像機器/検査:MRI

問題

今回は第69回診療放射線国家試験「診療画像検査学」より各パルスシーケンスにおける頭部MRI画像の特徴についての問題を解説していきます。

なお、問題文及び画像は厚生労働省HPより引用しております

午前16

頭部MR像を示す。正しい組み合わせはどれか。2つ選べ

1. ア ーーー STIR像

2. イ ーーー FLAIR像

3. ウ ーーー 脂肪抑制T1強調像

4. エ ーーー T2*強調像

5. オ ーーー 造影T1強調像

解説

脳のMR強調画像の見方

T1強調像とT2強調像

MR画像の基本として、T1強調画像は「脂肪強調」・T2強調画像は「水強調」である

  • T1強調画像・・・ 脳実質:(灰白質<白質):脳脊髄液(低信号:黒)
  • T2強調画像・・・脳実質:(灰白質>白質):脳脊髄液(高信号:白)

(※)灰白質は神経細胞(情報の発信元)の集合で白質は神経繊維(情報の伝達経路)の集合である。神経はともかく『繊維』は『細胞』よりも脂肪を多く含むことを覚えておくと良い

反転回復画像(FLAIR・STIR)

反転回復画像とは反転回復パルス(IR-Pulse)と呼ばれる180°パルスを印加し、元の信号値まで戻る過程で信号が0になるポイントでエコーを収集して作られる画像であるここで信号が0となるポイントをnull point(Tl)といい、Tlは組織(水や脂肪)によって異なる。そこでTlを色々調整する事である組織の信号を抑制した画像が作れるという考え方である

  • STIR・・・脂肪抑制画像
  • FLAIR・・・水抑制画像

解説

では、画像を見てみましょう

各画像の「灰白質・白質」部分を見てみましょう

ア・イ・ウの信号値は「灰白質>白質」であり、T2強調系の画像であります。一方で、エ・オでは「白質>灰白質」でありT1強調系の画像になりますね。

T1・T2系を整理できたところで、次は各々を細かく見ていきましょう

上図より各選択肢の画像をまとめると

  • ア:T2強調画像
  • イ:FLAIR像
  • ウ:拡散強調画像(DWI)
  • エ:T1強調画像
  • オ:造影T1強調画像

となります。

【追記】

拡散強調画像はT2系であり脳実質のみが画像として抽出されるため特徴のある画像です

T2*強調像はGRE系(短いTR・SE)での撮像のためT2に比べてコントラストは劣り、また全体的に明るい画像となります。

※各シーケンスは別記事で詳しく説明しますのでしばらくお待ち下さい。

以上より、正解は【イ】【オ】になります。

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