立ち下がり時間と時定数

画像機器/検査:X線

問題

今回は第69回診療放射線国家試験「診療画像機器学」より立ち下がり時間と時定数についての問題を解説していきます。

なお、問題文及び画像は厚生労働省HPより引用しております

午前6

インバータ式X線装置の管電圧波形(図A)を示す。同一の管電流時間積で管電流を大きくした時の菅電圧波形(図B)はどれか。但し、すべての波形の縦軸・横軸のメモリは同じである

1. ア

2. イ

3. ウ

4. エ

5. オ

解説

立ち下がり時間と時定数

少し医用工学のような話をします

コンデンサの過渡現象などでよく「時定数」という言葉を使います

時定数とはコンデンサ放電現象においてはその放電の速さを表す指標です

実は立ち下がりの波形についても時定数は立ち下がり時間の速さを表す指標として使います

では時定数とはどういった式で表すのでしょうか

時定数をτとすると

$$τ=CR$$

ここで

  • C:高電圧ケーブルの浮遊容量
  • R:X線管内の内部抵抗

となります。ここで時定数の大小は立ち下がり時間の長短のことを意味します

ここから派生させて色々な因子を紐づけていきましょう

高電圧ケーブルの浮遊容量

高電圧ケーブルの浮遊容量は250pF/mです

高電圧ケーブルの長さが長くなれば浮遊容量も大きくなり波形が平滑化されることによって立ち下がり時間は長くなります

X線管内の内部抵抗

これはX線菅内での『抵抗』の話です

菅電圧をV、菅電流をIとすればオームの法則より

$$V=RI$$

となりここで言うRが内部抵抗に該当します

管電圧が一定ならば管電流と内部抵抗は反比例の関係にあります

解説

今回の問いは「同一の管電流時間積で管電流を大きくした」とあります

管電流時間積は管電流×照射時間である為、今回の問いは『管電流は大きく、照射時間は短く』となります

管電流が大きくなると内部抵抗が小さくなる為、時定数は小さくなります

同一管電流時間積で管電流が上昇すると照射時間は短くなります

各選択肢より

  • 立ち下がり時間が短縮〈時定数(小)〉
  • 照射時間が短縮

以上を該当する選択肢はエとなり【4】になります

今回は画像機器学と医用工学の両方の知識を必要とする問題でした。

お疲れ様でした

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