インバータ式X線装置の特徴

画像機器/検査:X線

問題

今回は第69回診療放射線国家試験「診療画像検査学」よりインバータ式X線装置についての問題を解説していきます。

なお、問題文及び画像は厚生労働省HPより引用しております

午後6

インバータ式X線高電圧装置で誤っているのはどれか

1. インバータ周波数が高いほど電源効率は低い

2. 電源インピーダンスが高いほど装置の定格出力は小さい

3. 高電圧ケーブルが長いほど管電圧のリプル百分率は小さい

4. インバータ周波数が高いほど管電圧のリプル百分率は小さい

5. インバータ周波数が高いほど高周波高電圧変圧器の損失は小さい

解説

インバータとは

インバータとは直流(DC)を交流(AC)に変換する回路のことを指します

交流電源からあえて直流に変換し交流に戻す作業をする手間は「出力の調節」を行う為である

インバータ回路によって出力は制御できますが、供給時の交流電源での内部抵抗(電源インピーダンス)が大きいとその分出力は減少します

インバータ周波数のリプル百分率

X線装置ではインバータ回路で出力を調節後、変圧器によって高電圧に調節し、整流回路によって再び直流へ変換します

ここで「リプル百分率」と「インバータ周波数による損失」について考えてみましょう

リプル百分率とは「出力中の交流成分の度合い」を表します

一般的にリプル百分率が低いと安定した電圧供給が実現します

ですが「リプル百分率」と「インバータ周波数による損失」は相反するような位置関係にあります

図のように高周波ほどリプル百分率は低く安定供給となります

しかしインバータ回路で高周波を実現しようとすれば回路内は熱を持ってしまいます。これは電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変換させることによる損失であります

このようにインバータ周波数を高くすると電圧が安定供給される一方、エネルギー損失も大きくなります

一方で図のように実際の間電圧波形では平滑化されたような波形なります。これは、高電圧ケーブル、X線管の内部抵抗などによるものです

特に高電圧ケーブルの浮遊容量は250pF/mで増加していきます

解説

各選択肢についてみていきましょう

1. インバータ周波数が高いほど電源効率は低い

正解

インバータ周波数(高)→損失(大)→効率(低)

2. 電源インピーダンスが高いほど装置の定格出力は小さい

正解

電源インピーダンス(内部抵抗)が高いと出力は低くなる

3. 高電圧ケーブルが長いほど管電圧のリプル百分率は小さい

正解

高電圧ケーブルの浮遊容量:250pF/mより長さ(長)→平滑化(大)→リプル百分率(小)

4. インバータ周波数が高いほど管電圧のリプル百分率は小さい

正解

インバータ周波数が高いと波形間隔が狭くなる為リプル百分率は小さくなる

5. インバータ周波数が高いほど高周波高電圧変圧器の損失は小さい

不正解

インバータ周波数(高)→損失(大)

※変圧器も同様

以上より今回は不適切な解を求める為、正解は【5】になります

お疲れ様でした

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